プライスアクションは「ローソク足」の形やパターンから相場の動きを予測するチャート分析の手法の1つだ。
今回はプライスアクションのひとつ、「スラストアップ/スラストダウン」について個別で解説していく。
スラストは、トレンド相場の『継続』を示すプライスアクションだ。
スラストは急激なトレンドが発生している状態なので、
「一気に動き過ぎだし、ちょっと逆張りしてみようかな…」などと下心を出して逆張りしたり…
含み損がさらに大きくなったので取り返そうと熱くなってポジションをさらに追加したり…
で大負けする可能性があるので注意が必要だ。
1.スラストアップ
ローソク足の終値が前のローソク足の高値を上回った状態
スラストアップは「上昇トレンドの継続」を示すプライスアクションだ。
スラストアップの形が続けば続くほど、それだけ強い上昇トレンドが発生しているということになる。
なので、スラストアップ出現時は買い方向にのみトレードするのが鉄則だ。
2.スラストダウン
ローソク足の終値が前のローソク足の安値を下回った状態
スラストダウンはスラストアップの逆で「下降トレンドの継続」を示すプライスアクションだ。
スラストアップと同様、スラストダウンの形が続けば続くほど、それだけ強い下降トレンドが発生しているということになるので、売り方向にのみトレードしよう。
3.実際のチャートで確認
それでは、「スラスト」を実際のチャートで確認してみよう。
まずは「スラストアップ」。
記憶に新しい2022年3月から続く円安のドル円日足チャートだ。
要所要所で押し目を作って下落しているが、前の高値を更新しながら(陽線を連続しながら)急激に上昇していっているのがわかる。
つづいて「スラストダウン」。
上記はユーロドル日足チャートだ。
前のローソクの安値を更新しながら(陰線が連続しながら)下落しているのがわかる。
4.スラストのエントリーポイントは?
スラストのエントリーポイントは、過去のチャートでスラストの発生を探すところからはじまる。
スラストの発生が確認できたら、スラストしている方向にのみエントリーしよう。
スラストダウン ⇒ 「売り」でエントリー
スラストが発生しているかどうかの判断は人によってまちまちだが、ローソク足2本のみではスラストが発生しているかどうかはまったくわからないので、最低でもローソク足3本以上~で判断しよう。
5.スラストの損切/利確ポイントは?
スラストは他の手法と組み合わせて使われることが多いので、スラストのみで損切・利確を判断するということはあまりないが…
強いていうなら「スラストの形が崩れた時」だろう。
ローソク足の「終値」が「前のローソク足の高値」を上回っている
ローソク足の「終値」が「前のローソク足の安値」を下回っている
上記の条件を満たさなくなった時が、損切または利確のポイントになるだろう。
6.「ディナポリ」の手法
ここまでスラストについて解説してきたが、スラストは形こそわかりやすいものの、実践のトレードでどう落とし込めばいいのかよくわからないという人も多いだろう。
スラストは他のプライスアクションやインジケータなどと組み合わせて使われることが多い。
たとえば、Joe DiNapoli(ジョー・ディナポリ)という有名なアメリカ人トレーダーはスラストを用いた具体的な手法を考案している。
- シングルペネトレーション
強いトレンドの押し目や反発を狙う手法 - ダブルレポ
強いトレンドの転換点、反転を狙う手法
上記はその中でも有名な手法だ。
どちらも強いトレンド発生時、つまりスラスト発生時での手法になっており、エントリーや損切ポイントも明確に決められている。
興味のある方は調べてみてほしい。
7.スラストアップ/スラストダウンの注意点
スラスト発生中は安易に逆張りしない
スラストは運よく流れに乗ることができれば、ものすごい勢いで利益が増えていくのだが…
頭から尻尾までつかまえることは至難の業だろう。
トレンドが発生していたかどうかは結局後になって気づくものだからだ。
むしろスラストの形が続けば続くほど、怖くなってすぐに利確してしまったり、「上がりすぎ・下がりすぎ!」と考えて逆張りしたくなるという心理に陥りやすい。
特に急激なトレンド相場時は逆に大きく損することも多いので、かなり厄介だ。
スラストの形がローソク足で何本も続いているのであれば、トレンドに逆らわず、順張りでエントリーしよう。
安易な逆張りは控えるようにしたい。
陽線・陰線の連続は必ずしもスラストではない
スラストはローソク足の「終値」が「前のローソク足の高値」を上回っている形を指す。
「陽線・陰線の連続 = スラスト」とは限らないので注意しよう。
※この場合トレンドは出ておらず、相場が揉みあっている可能性が高くなる。
まとめ
「スラスト」はトレンドの「継続」を表すプライスアクションだ。
スラストを確認することで、揉み合い相場に巻き込まれずにトレンドをつかまえやすくなるだろう。