株にしろFXにしろ、チャートをみれば一直線に動いていないのがわかるだろう。
相場は必ず上下を繰り返しながら(波を打ちながら)動いていく。
その上下の波に一定のリズム(法則性)があるということを見つけたのが「エリオット波動」といわれる理論だ。
なにやら難しそうと思われるかもしれないが、内容自体はいたってシンプルだ。
この記事では「エリオット波動」の基礎について解説していく。
エリオット波動の考え方を知れば、
- 相場がこれからどういう動きをするのか?
- 相場が上昇・下降どの局面にあるのか?
ある程度予測することが可能になるので、ぜひ覚えておこう。
1. 愛用するトレーダーも多い「エリオット波動」とは?
エリオット波動とはざっくりいうと、相場の波には一定のリズム(法則性)があるとしたものだ。
「エリオット」という人物が考案したことからその名がついている。
2. エリオット波動の基本
エリオット波動を知るうえで、まず大前提として知っておいてほしいのが、
ということだ。
上の図がエリオット波動による相場のサイクルのイメージだ。
まずこの図をしっかりと覚えておこう。
※ちなみに図は「相場が上昇していく時」のイメージだ。相場が下落していく場合は単純にその逆をイメージしてほしい。
3.各波の特徴
エリオット波動の全体像がイメージできたら、次は各波の特徴を覚えよう。
「1波」の特徴
・天井や底での急激な反発
・トレンドが転換したかはまだ判断できないため、狙ってとるのは難しい
「1波」は「トレンドの終わりから新たなトレンドの開始」として形成される。
相場の天井・底での急激な戻しが「1波」の特徴だ。
しかし基本的に1波を狙って利益を得ることは難しいといわれている。
ただ単に大きく戻しただけで、今のトレンドが継続していく可能性も十分にあるからだ。
「1波」だけで新しいトレンドが発生したかどうかは判断ができないので、乗り遅れたからといってあせって追いかけてしまわないよう注意しよう。
特に海外FXはレバレッジの高さもあって、次の「2波」に耐え切れずロスカットされる可能性が高くなってしまう。
1波はエントリーするポイントではなく、次の流れを見極めるための波といえるだろう。
「2波」の特徴
・1波の大部分を戻すことが多い
・ジグザグ型のチャートパターンになりやすい
「2波」は「1波」の調整の動きとなる。
先述したように、1波の時点ではこれまでのトレンドの流れが変わったどうかはまだ判断できない。
そのため市場参加者のほとんどが再び弱気になるため、「2波」は「1波」の大部分を戻すことが多いのが特徴だ。
また、動きとしては「ジグザグ型」のチャートを描くことが多い。
「3波」の特徴
・最も勢いが強く、伸びやすい波
・トレーダーにとって大きく稼げるチャンス
1波~2波の段階でまだトレンド転換に懐疑的だった人たちもどんどんと参入しはじめ、本格的なトレンド相場が形成される局面が「3波」だ。
ゆえに「3波」は形成されるトレンドの中で最も伸びやすいという特徴がある。
エリオット波動では、この「3波」こそが狙うべき波といわれている。
「4波」の特徴
・2波と比べて戻しは浅いことが多い
・複雑な動きをしやすい
3波が終わると、今度はまた大きな調整「4波」が始まる。
「4波」は「2波」の大きな戻しと比べて、戻しが小さくなる傾向がある。
「3波」に乗り遅れた人たちが積極的に戻しを拾ってくる局面だからだ。
2波と比べて戻しは小さくなる傾向があるとはいったが、それはあくまで直前の波(※2波なら1波、4波なら3波)に対しての話だ。
3波が大きく伸びた場合は相対的に2波よりも値幅が大きくなるので注意しよう。
売りと買いが激しく交錯する局面でもあるので、チャートは「ジグザグ型」に動くこともあれば「フラット型」や「トライアングル型」など様々なパターンが出てくる。
複雑な動きになりやすいのも「4波」の特徴といえるだろう。
「5波」の特徴
・3波と比べて勢いは控えめなことが多い
・3波を大きく超えるパターンもあれば、超えないパターンもある
トレンド相場のクライマックス、天井・底となりうるのが「5波」だ。
基本的に「3波」ほどの力強さはないが…FXでは3波を大きく超えて伸びるパターンもしばしば見られる。
その一方で、3波を超えられないパターンもあったりするので意外と難しい動きをする。
「ダイアゴナル・トライアングル」といわれるチャートパターンは、特にこの「5波」でよく見られる。
トレンドの最終局面なので、つい欲張ると天井で買ってしまったり、底で売ってしまったりするリスクがあるので要注意だ。
「a波」の特徴
・「4波」同様、複雑な動きになりやすい
・「1波」のようにトレンドが終了したかどうか判断が難しい
推進波である5波動(1波~5波)が終わると、次は本格的な調整局面に入る。
「5波」終了後の最初の反発が「a波」だ。
a波の時点では1波のように単なる戻しにしか見えないため、トレンドが終わったかどうかを判断することは難しい。
「a波」はエントリーするポイントというよりは、「5波が終了し、トレンドが終わったのかどうかをしっかりと見極めるための局面といえる。
5波の動きが難しくなりやすい分、安易なエントリーは避けたい。
「b波」の特徴
・ダマシの波といわれている
・天井や底で掴んでしまうとロスカットされやすい
「a波」の段階では、まだ多くの人が「一時的な調整だ!」「トレンドは継続している!」「すぐに戻ってくる!」と楽観的に考えている。
あたかも「トレンドが再開した」と思わせるような動きを見せてくるが、これはダマシである。
ダマされたが最後、次の「c波」によって多くはロスカットへと追い込まれるだろう。
「b波」はまれに「5波」も超える勢いになることがあるので注意しよう。(※イレギュラートップという)
「c波」の特徴
・「3波」同様、勢いが強くなりやすい波
・うまく拾うことができれば大きな利益が狙える
a波~b波までの楽観的な考えは「c波」によってすべて打ち砕かれる。
c波によって参加者の多くは「トレンドが終了したという恐怖」へと感情が変わっていくため、c波は勢いが強くなることが多い。
しかし実はこの「c波」は「3波」同様に狙うべき波といわれている。
理由は大きく2つある。
【フィボナッチ】はよくエリオット波動と組み合わせて使われる分析ツールだ。
フィボナッチってなに?という人は以下の記事を参考にしてほしい。
「c波」は「1波~5波」全体の値幅の「50%」「38.2%」のフィボナッチラインで反発することが多いため、比較的狙いやすいのだ。
「c波」終了が、上の時間軸では「2波」終了の可能性があり、大きな反発が期待できる。
これはエリオット波動がフラクタル構造※になっているといわれているためだ。
一部を拡大した形が全体の形と同じ形になっていること。
大きなエリオット波動の波はさらに小さなエリオット波動で構成される。
3. エリオット波動が成立するための「3つの条件」
エリオット波動が成立するには3つの条件を満たす必要がある。
つまり、これから紹介する【3つの条件】を満たせなかった場合は、波のカウントが間違っている可能性が高いということだ。
正確に波をカウントするためにも3つの条件を必ずおさえておいてほしい。
【ルール①】3波が一番短くなることはない
エリオット波動の推進波でもっとも力強く伸びやすい「3波」は、「1波」「3波」「5波」の推進波の中で一番短くなることはない。
もちろん1番短くなくていいので、2番目ならOKだ。
実際の相場では1波が一番伸びるパターン、5波が一番伸びるパターンもあるので覚えておこう。
3波が一番短くなることはない!
【ルール②】 2波は1波の始点を超えて戻さない
1波の始点を超えて戻した場合はエリオット波動「1波」は否定され、トレンド継続が濃厚となる。
2波でエントリーした後、1波が否定されてしまった場合は素直に損切することも大事だ。
「2波」は「1波」の始点を超えて戻さない!
【ルール③】 4波は1波の終点を割らない
「4波」は「1波」でつけた高値(または安値)を割り込むことはない。
4波でエントリーした後、1波を割り込んでしまった場合も損切が検討される。
「4波」と「1波」は重ならない!
4.実際の相場で確認してみよう
では、実際のチャートでエリオット波動を確認してみよう。
まずはドル/円の1時間足のチャートだ。
続いて、ポンド/ドルの1時間足のチャート。
先述のエリオット波動の3つの条件もちゃんと満たしていることがわかる。
エリオット波動で勝つためには正確に波をカウントすることが最も重要だ。
ぜひ過去のチャートでカウントの取り方を練習してみよう。
5.まとめ
エリオット波動の基礎について解説した。
当たり前だが、エリオット波動はそれだけ知っていれば誰でもカンタンに勝てるような夢の手法ではない。(そうであれば、すでに大勢の人が大金持ちになっている)
実際エリオット波動は人それぞれで波のカウントがかなり違ってくるため、「後付けでいくらでもいえる」「リアルタイムでは使えない」という否定的な声も多く存在する。
実際のチャートで示したカウントも必ずしも正解であるとは限らないのだ。
しかし、エリオット波動の理論は、
・相場が今どの局面にあるのか?(環境認識)
という2点において、多少のズレはあれど大いに役立ってくれることだろう。
相場で勝てる人はエリオット波動+その他の手法を組み合わせることで勝率を大きく伸ばしている。
エリオット波動どおりに動くほど相場は甘くないが、闇雲にトレードしている人たちとは大きく勝率が変わってくるので、知っておいて損はないだろう。