チャートを見るとき「ローソク足」を表示しているトレーダーは多いだろう。
しかし、中には
「なんとなくローソク足にしているだけ」
というようにローソク足をあまり意識していない人も多いのではないだろうか。
一見すると、ただローソクの形をしているだけのように見えるが、実はその形・パターンにはFXで勝つための情報が数多く詰まっている。
今回はローソク足の形を分析して値動きを予測する手法「プライスアクション」について解説していく。
FXを始めると必ず出てくるのが、
- いつエントリーすればいいのかよくわからない
- いつ損切をすればいいのかよくわからない
- 利益がなかなか伸ばせない
といった「悩み」だ。
プライスアクションとは「値動き」すなわち「参加しているトレーダーたちの心理状態」を分析する手法となる。
プライスアクションを覚えれば、
- 根拠を持ってエントリーができるようになる(ポジポジ病にならない)
- 的確に損切りができるようになる(損切貧乏にならない)
- 相場の変わり目がわかるようになる(利益をしっかり伸ばせる)
あなたのトレードスキルはきっと向上するだろう。
1.ローソク足の見方
ローソク足のプライスアクションを解説する前に「ローソク足の見方」について振り返っておこう。
ローソク足は以下4つの価格で構成され、「実体」部分と「ヒゲ」部分であらわされる。
終値(おわりね)…ある期間に最後についた価格
安値(やすね)…ある期間の中で最も高くついた価格
高値(たかね)…ある期間の中で最も安くついた価格
※「ある期間」は表示しているチャートの時間軸となる。(5分足なら5分間、日足なら1日)
また、その期間「上昇」して終われば「陽線」、「下降」して終われば「陰線」であらわされる。
このようにローソク足はパッと一目で値動きを把握しやすいので、今では世界中のトレーダーに愛用されている。
2.プライスアクションとは?
プライスアクションとは「価格(プライス)の動き(アクション)」と訳される。
値動きを表した「ローソク足」の形やパターンを分析して相場の動きを予測する手法だ。
相場は以下の3つのどれかに必ず当てはめることができる。
- レンジ相場
- 上昇トレンド相場
- 下降トレンド相場
プライスアクションは言うなれば、相場の「切り換わり」「転換」を読む手法ともいえるだろう。
- レンジ相場⇒上昇トレンドに切り換わるとき
- 下落トレンド⇒上昇トレンドに切り換わるとき
などのように、相場が転換する際にどういった「値動き」・「ローソク足」を形成するのかわかるようになるので、エントリーや損切・利確のタイミングが判断しやすくなるのだ。
3.FXで覚えておくべき「9つ」のプライスアクション
では、ここからFXで覚えておくべきプライスアクションを9つ見ていこう。
- スラスト
- ランウェイ
- ピンバー
- フェイクセットアップ
- フォールスブレイクアウト
- スパイク
- リバーサル
- インサイド
- アウトサイド
3-1.【継続】を示すプライスアクション
まずはトレンドの「継続」を示すプライスアクションから見ていこう。
①スラスト
ローソク足の終値が前回のローソク足の高値を上回っている状態
ローソク足の終値が前回のローソク足の安値を下回っている状態
スラストは「トレンドの継続」を示すプライスアクションだ。
スラストの形が続けば続くほど、それだけ強いトレンドが発生しているということになる。
とらえることができれば、ものすごい勢いで利益が増えていくのだが…
儲けるどころか逆に損することも多かったりするので、意外にとらえるのは難しい。
というのも、スラストが連続して発生している状況下では「上がりすぎ・下がりすぎ!」と考えて、逆張りで売りたくなるという心理に陥りやすいからだ。
気持ちは痛いほどわかるが、安易に逆張りするのは危険なのでやめておこう。
②ランウェイ
当日の高値が直近5本分の高値より高く、当日の安値が未来5本分の安値より低い状態
当日の安値が直近5本分の安値より低く、当日の高値が未来5本分の高値より高い状態
ランウェイもスラストと同じく、「トレンドの継続」を示すプライスアクションだ。
大きく伸びたローソク足によって、価格帯が一段上がった状態をいう。
基準となるローソク足の前後【5本】のローソク足をみて、ランウェイかどうかを判断するのが一般的となっている。
ランウェイの起点となる足は、上記画像のように実体が長い大きな陽線・陰線になるケースが多い。
3-2.【反転】を示すプライスアクション
続いて、相場の「反転」を示すプライスアクションを見ていこう。
③ピンバー
ピンバーは反転のプライスアクションの中では、もっともわかりやすく基本ともいえる形で、トレンドの天井や底でよく見られる。
一般的にはヒゲが実体の3倍以上ある場合「ピンバー」と判断される。
期間中に価格を伸ばしたものの、その後大きく押し戻された状態をあらわしており、その価格帯に大きな抵抗があることを意味する。
ピンバーは以下の「フェイクセットアップ」「フォールスブレイクアウト」「スパイク」の形でよく出現する。
④フェイクセットアップ
フェイクセットアップはいわゆる「ダマシ(=フェイク)」の形だ。
レンジ相場が形成されている場合、その高値・安値をブレイクした(抜けた)方向に付いてていくのがトレードの基本といわれているが、ブレイク後に一転して急激に押し戻され「ピンバー」を形成し、もとのレンジ内にもどっていくという動きをいう。
「フェイクセットアップ」の形になった場合、ダマされたトレーダーたちのポジションを燃料に反対方向へ加速するという動きになりやすい。
反対方向へのブレイクが確認できたら、エントリーのチャンスだ。
もしダマされてつかまってしまった場合は、すぐに損切しないと大きな損失を抱える可能性があるので注意しよう。
⑤フォールスブレイクアウト
フォールスブレイクアウト、つまり「ブレイク失敗」という意味だ。
トレンド中に高値・安値を更新し、トレンドが継続するかに思えたが、一転して急激に押し戻された形をいう。
フェイクセットアップと同様にトレーダーが「ダマされやすい」形といえるので、出現後は反対方向へと動きが加速しやすい。
直近の高値のブレイクを確認したら、エントリーのチャンスだ。
ダマされてつかまってしまった場合は、素早く損切しよう。
⑥スパイク
上昇トレンド中に前後数本と比べて著しく上ヒゲが長い状態
下降トレンド中に前後数本より著しく下ヒゲが長い状態
スパイクは先述した「フォールスブレイクアウト」「フェイクセットアップ」と同様に、ピンバーを含んだ「反転」を示すプライスアクションだ。
「トレンドの終盤」でよく見られる形だ。
長く続いたトレンドの後ほど、大きな「ピンバー」が形成されれば、「スパイク」の形になる可能性が高まるので、逆張りで一気に稼ぐチャンスになる。
⑦リバーサル
上昇トレンド中に高値を更新したものの、その後の終値が直前のローソク足の終値を下回った状態
下降トレンド中に安値を更新したものの、その後の終値が直前のローソク足の始値を上回った状態
リバーサルも「反転」を示すプライスアクションだ。
高値・安値を更新したものの、終値が直前の終値or始値を超えて確定した状態をいう。
リバーサルしたローソク足は大きいほど信頼性は高くなるといわれている。
リバーサルは「フォールスブレイクアウト」や後述する「アウトサイド」と同じ場面で出現することも多い。
利益が出ているポジションを保有中にリバーサルが確認できたら、相場が反転する可能性があるので、利確のサインといえるだろう。
逆を言えば、逆張りでエントリーするサインともいえる。
3-3.【停滞】を示すプライスアクション
最後に相場の「停滞」を示すプライスアクションだ。
⑧インサイド
基準となるローソク足の高値・安値の間にローソク足が収まっている状態。
インサイドは買いと売りが膠着(こうちゃく)し、相場が「停滞」していることを示すプライスアクションだ。
2本、3本と収まっているローソク足が多ければ多いほど、抜けた方向に強いトレンドが発生しやすい。
なので、相場がインサイドの状態になっているときは無理にトレードせず、基準となるローソク足の高値or安値をブレイクするまで待つという使い方をする。
逆に保有中のポジションが逆行してマイナスになっている場合は、インサイド内に値動きが収まっているうちは我慢して耐えるのが吉だ。
⑨アウトサイド
基準となるローソク足の高値・安値の間に過去のローソク足が収まっている状態
アウトサイドはインサイドの逆パターンで、基準となるローソク足が過去のローソク足の高値・安値を覆っている状態をいう。
停滞していた動きが一気に拡大したことを示すプライスアクションだ。
リバーサルと似ているが、アウトサイドはトレンドの途中でもよく出現するので注意しよう。
トレンドの天井や底で発生すると「リバーサル」となり、相場が反転する可能性があるが、トレンド途中で何度もアウトサイドが発生するときは相場が迷っていることを意味している。
インサイド同様、無理にトレードはせず、高値・安値をブレイクするまで待つのが基本だ。
4.FXでプライスアクションを使うときの注意点3つ
プライスアクションの形を紹介してきたが、もちろんこの形を覚えるだけで勝てるほどFXの世界は甘くない。
ローソク足は多くのトレーダーが意識している分、「ダマシ」も多い。
ダマシを100%避けることは難しいが、できるかぎりダマされる確率を減らせるようにしておこう。
FXでプライスアクションを使う上での注意点を3つ伝えておく。
注意点①:確定したローソク足で判断する
プライスアクションを使う時は、必ず確定したローソク足で判断するようにしよう。
リアルタイムで動いているローソク足では、自分が思っているプライスアクションの形になるとは限らないからだ。
たとえば、「インサイド」や「アウトサイド」などの「ブレイクするのを待つ」という状況下において…
ブレイクを確認できたが、「ローソク足がリアルタイムで動いている」場合は、本当にブレイクしたかどうかはまだ判断できない。
相場のセオリーともいえる「ブレイクした方向についていく」という手法(※ブレイクアウト手法)は、先述した「フェイクセットアップ」や「フォールスブレイクアウト」のように「ダマシ」の形になることも多い。
なので、リアルタイムでブレイクを確認した後は、決して慌てず、そのローソク足が確定するまで我慢して待つことをオススメする。
さらに慎重を期すのであれば、その後数本のローソク足の動きを見た上でエントリーするようにしよう。
注意点②:複数の時間軸のチャートを確認しよう
プライスアクションはひとつの時間軸のチャートだけを見て判断するのではなく、複数の時間軸のチャートを確認するようにしよう。
たとえば、「ピンバー」
ローソク足では最もわかりやすい「反転」の可能性を表すプライスアクションだが、同じ形のピンバーでも形成されるまでの値動きが違ってくるので、中身の動きまでしっかりと確認する必要がある。
「ピンバー」のパターン①
⇒相場が反転した可能性が高い
「ピンバー」のパターン②
⇒再び下落する可能性が高い
このようにプライスアクションの形だけをおぼえるのではなく、「どういった値動きでその形が作られたのか?」まで考えることが重要だ。
注意点③:業者ごとでローソク足の形が違う
FXでは、提示されている価格レートが業者ごとで微妙に違うことがある。
「価格レートが違う」ということは、当然「ローソク足の形も違ってくる」ので、プライスアクションを使う際は注意しておこう。
なぜ業者ごとで提示される価格レートが違うのか?
これはFXのほとんどが「相対取引」となっているためだ。
たとえば、株では「東京証券取引所」などのような「取引所」を介して取引が行われるが、FXの場合「取引所」ではなく、「トレーダー」と「FX業者」の間で直接取引が行われるのが一般的だ。
つまり、
業者Bのチャートでは「リバーサル」になっていない。
ということが起こり得るのだ。
特に「1分足」や「5分足」などの短い時間軸のチャートでは、ローソク足の形も変わりやすく、業者によってはプライスアクションの形になっていないこともある。
プライスアクションはローソク足の形のみで判断する手法なので、場合によっては致命的な判断ミスにつながる可能性があるので注意したい。
※長い時間軸のローソク足で判断しよう
ローソク足の違いによるミスをできるだけ避けるためにも、プライスアクションはできるかぎり長い時間軸のローソク足で判断するようにしよう。
業者ごとにレートが違うといっても、かけ離れたレートばかり配信していると業者の信頼性にもかかわってくるので、そこまで極端に価格レートに大きな差が出るケースはそれほど多くない。
(あまりにかけ離れたレートを配信してSNSで炎上しているFX業者はまれにみかけるが…)
そのため、業者ごとのレートの違いは長い時間軸のチャートであるほど誤差の範囲に収まることになる。
スキャルピングなら最低でも「15分足」、デイトレードなら「1時間足」、スイングなら「日足」以上のチャートで判断したいところだ。
まとめ
ローソク足のプライスアクションについて解説した。
今回、各プライスアクションの形についてはざっくりとした解説になってしまったが、今後はそれぞれのプライスアクションの詳細や実践的な使い方を紹介していく予定だ。