プライスアクションは「ローソク足」の形やパターンから相場の動きを予測するチャート分析の手法の1つだ。
今回はプライスアクションのひとつ、「スパイクハイ/スパイクロー」について個別で解説していく。
スパイクハイ/スパイクローは、相場の『反転』を示すプライスアクションだ。
形自体は非常にわかりやすいので、チャートを見れば初心者でもすぐに見つけることができるだろう。
1.スパイクハイ
上昇トレンド中のローソク足前後数本と比べて、明らかに『上ヒゲ』が長いローソク足となって確定した状態
スパイクハイは、高値を大きく更新したものの、すぐに売りの攻勢にあい、大きく戻されたときに出現する。
「上昇を続けていた相場の反転」つまり、天井圏である可能性を示すプライスアクションだ。
スパイクハイ出現後はトレンドが反転し、下落に転じる可能性が高くなる。
同じく『反転』のプライスアクションである『リバーサルハイ』と同時に出現することもあり、その場合はより強い反転のサインになる。
スパイクハイのエントリーと損切のポイントは以下のとおりだ。
1-1.エントリーポイント
1-2.損切ポイント
スパイクハイ出現後のヒゲを超えてしまえば、スパイクハイは結果的にダマしとなり、トレンド継続が濃厚となるので損切となる。
逆を言えば、大きなヒゲすらも超えていくほど相場に勢いがあるということなので、トレンドに飛び乗るエントリーチャンスともいえるだろう。
1-3.実際のチャートで確認してみよう
実際のチャートで「スパイクハイ」を確認してみよう。
下記の画像は「ドル円(USD/JPY)」の1時間足チャートだ。
※ドル円1時間足
非常にキレイな「スパイクハイ」を描いているパターンだが、出現後に相場が反転しているのがわかる。
ただし、スパイクハイが出現したからといって必ずしも反転するわけではない。
下記画像のように相場が反転しない「ダマし」のパターンもある。
※ドル円1時間足
スパイクハイが出現したものの、反転せずにトレンド方向へと伸びていったパターンだ。
こちらも非常にキレイなスパイクハイの形なので、売りで入ったトレーダーも数多くいるだろうと思われる。
伸びた少し後でトレンドが反転するというイヤらしい動きだが…
スパイクハイのヒゲ(高値)を超えていった場合は、トレンド方向へ大きく動きやすいので早めの損切を心がけたい。
2.スパイクロー
下降トレンド中のローソク足前後数本と比べて明らかに『下ヒゲ』が長いローソク足となって確定した状態
続いて「スパイクロー」だ。
スパイクローはそのままスパイクハイの逆パターンになる。
「下降を続けていた相場の反転」つまり、底値圏である可能性を示すプライスアクションだ。
こちらも『反転』のプライスアクションである『リバーサルロー』と同時に出現することがあり、その場合はより強い反転のサインになる。
2-1.エントリーポイント
2-2.損切ポイント
2-3.実際のチャートで確認してみよう
では「スパイクロー」も実際のチャートで確認してみよう。
下記の画像は「ユーロドル(EUR/USD)」の1時間足チャートだ。
※ユーロドル1時間足
底値付近で「スパイクロー」が出現した後、相場が上昇へと転じているのが確認できる。
また、下記は『リバーサルロー』との複合パターンだ。
※ユーロドル1時間足
大きく下落した後、急激に反転している。
リバーサルとの複合パターンであれば強気の反転サインだ。
もちろんスパイクローの「ダマし」パターンもある。
※ユーロドル1時間足
「スパイクロー」が出現したが、反転しきれず逆に大きく下落していったパターンだ。
スパイクハイと同様にダマしは逆方向に勢いがつきやすいので注意が必要だ。
3.スパイクハイ/スパイクローの注意点
①上位の足ほど信頼性は高くなる
プライスアクションは基本的に「1分足」や「5分足」などの短い時間足(※下位足)はダマしが多く、「4時間」や「日足」「週足」といった長い時間足(※上位足)であるほど信頼性は高くなる。
スパイクハイ/スパイクローも『日足』や『週足』ベースで出現すれば、相場が反転した可能性がより高まるだろう。
②長いヒゲ=スパイクではない
長いヒゲが出れば、必ずしもスパイクというわけではないので注意しよう。
スパイクハイ/スパイクローが成立するための条件は大きく3つといわれている。
- スパイクとなったローソク足が前後数本よりも明らかに高値・安値であること
- ローソク足のヒゲの長さが実体部分より極端に長いこと
- 出現するまではトレンドが出ていたこと
特に3.は勘違いしやすいので注意しよう
例えば、以下のチャートはスパイクローではなくレンジ相場で出現した単なる『ピンバー』だ。
スパイクハイ/スパイクローは、トレンドの終わりで出現するプライスアクションなので、出現する前にトレンドが出ていたかどうかをよく確認する必要がある。
③ローソク足が確定するまで飛び乗らない
スパイクハイ/スパイクローは、『天井圏』や『底値圏』あるいは『経済指標の発表』があった時などに出現しやすいため、値動きも上下に激しく動くことが多い。
まとめ
「スパイクハイ/スパイクロー」はチャートを見れば誰でも一目で見つけることができる形なので、多くのトレーダーが意識しているプライスアクションだ。
『反転』『トレンド継続』、いずれにしろスパイク出現後は強い動きになりやすいので、動いた方向へついていけば、大きな利益を得られる可能性も高くなるだろう。
過去のチャートでスパイクハイ/スパイクローを探して、出現後にどんな動きをしているのか、ぜひ一度自分の目でも確認してみてほしい。